「……それでさ」
「なんです?」
「……本当に、二人で暮らし始めちゃうのか?」
「そうしたいと思っていますが……やっぱり妊婦の朝間先生を独りで家に置いておくのは心配ですか? ご同居されるんですよね? 咲桜がいた方がいいとか……」
「いや、その点は箏子先生も隣にいるから、大袈裟な心配はないんだけどね?」
「……今頃反対されても肯きませんよ」
「結婚を反対とかじゃないよ。ただ……あーごめん。気にしないで」
「気になりますよ。咲桜のことなんでしょう?」
「……そうだけど」
「そう言えば、天科サンが在義さんを『華取翁(かとりおう)』とか言ってるの、知ってます?」
「……知ってるよ。十年以上前から、全にはじいさん扱いされてる。何考えてんだかね」
「天科サンにはっきり言われました、お前は欠陥だと」
「……全に?」