いくら咲桜が睨んでも、百戦錬磨の在義にはノーダメージだった。


これが「いじめたら口きかない」とか言い出したら慌てふためくんだけどなあ、と思いながら流夜は眺めていた。


しかしどんな約束をしていたんだろう。それについては聞いていない。


「あっ、箏子師匠呼んできてもいい? ご飯たくさん作ったし」


「そうだね。流夜くんとのことも、二人から離した方がいいだろうね」


「………」
 

二年前、箏子に引導を渡したようなものな流夜、在義の提案に一瞬困った。


き、気まずい……。


「流夜くん、行こ? 大丈夫、師匠、流夜くんのこと気に入ってるから」


「あ、ああ」
 

咲桜に手を出されれば、反射的に取ってしまう流夜だった。