「なにっ?」
咲桜が勢い込んで訊くと、在義は言いづらそうに視線を泳がせた。
それを見た夜々子がにこやかに手を動かした。
「咲桜ちゃんのね、妹がいるの。ここに」
「………」
「―――」
さすがに流夜、そこまで考えていなかった。
いきなり過ぎて、何と言ったらいいのかわからない。
隣の咲桜も今度は発狂せずに、ぽかんとしてしまった。
やおら立ち上がり、自分のお腹に手をあてる夜々子の隣に迂回していった。
ソファの下に膝をついて、夜々子を見上げる。
「赤ちゃん?」
「そうよ。在義兄さんの、二番目の子」
「女の子なの?」
「うん。咲桜ちゃんの妹よ」
妹、赤ちゃん、女の子。
咲桜の頭の中で文字が繋がったようだ。
「姫――――――――!」
咲桜ががばりと抱き付いたので、小柄な夜々子は若干勢い負けしつつ抱き留めた。