(び、びっくりした……降渡さん、なんてこと訊くの……)


「斎月ちゃんかあ。元気してる?」
 

咲桜の隣の笑満は机に頬杖をついて懐かしそうな顔をしている。


咲桜は平静を取り繕う。


「うん、元気だよ。相変わらず」
 

そっか。と、笑満もそれ以上は訊いてこなかった。
 

大和斎月――犯罪学者にして流夜の弟。


斎月は現在、表立って動いていない。


それ相応の理由が出来てしまったからだ。


「笑満の苗字も変わるんだねえ。……『猫柳笑満』? 可愛いなあ」


「うっ」
 

咲桜に茶化されて、笑満は顔を真赤にさせた。


この逆のことが、四年前――高校卒業直後の咲桜と笑満との間でやり取りされていたりする。