私は学校からの帰宅途中で彼を見つけた。
「こんにちは」
「あ、こんにちは」
彼は一瞬驚いて挨拶を返してくれた。
「あれから傘買えましたか?」
「はい、おかげさまで無事に傘を買えました」
ちょっと照れたように笑ってそういった。
「あ、そうだ!あなたの名前、ずっと聞こうと思ってたんです!」
私は思い出したように言った。
「僕もそう思っていました!」
彼が必死に言うものだから
「あはは‼」
私はなんだか嬉しくて笑ってしまった。
「あはは」
彼もつられて笑った。
「はは、はー、僕の名前は晴川良樹です。」
「私は雨野香織です。よろしくお願いします。私、こんなに笑ったの久しぶりです。」
私は少しぎこちなく笑った。
「ほんとですか?僕、あなたの笑った顔、
無邪気で、見てていいなと思いましたよ。」
彼は優しく微笑んで言った。