授業が終わり下校時間になった。
雨が降りやまぬことはなく、周りの人はうんざりするように空を見ていた。
私は傘を開き少し微笑んで歩き出そうとした。
“…え?あの人なにしているんだろう。…”
ふと視線をずらすと、雨のなかを傘もささずに歩こうとしている人がいた。
”…傘ないのかな。…“
「あの、良かったら傘入りませんか?」
私は少し緊張しながらその人に話しかけた。
「え、あ、いやそんな申し訳ないです。」
彼は困ったように笑ってそういった。
「いや、でもそれでは濡れて風邪を引いてしまいますから。」
「いえ、すぐそこのコンビニで傘を買いますし。」
なかなか頑固な人だ。
「じゃあ、そのコンビニまで入れさせてください。」
「そこまで言うなら、入れさせてもらいます。」
彼は私に柔らかく微笑んだ。