碧音君の上半身と生着替えが見れたという嬉しさより、今は傷の方が気になる。
聞かないけど。碧音君のことだ、はぐらかすに決まっている。
「碧音君、夕飯は豪華にするから待っててね」
「野菜少なめで」
「たっぷり夏野菜使う予定だから」
「うーわ。止めろ」
「あははっ」
ほら、当たり障りのない話しか出来ない。ただ学校で怪我したとか皐月とじゃれ合ってて、とかの理由なら問題ない。
でももし違ったら、碧音君を困らせるからね。今はこれでいいと思う。
「ロールキャベツはいかが?」
「肉オンリー」
「肉団子になっちゃうじゃん。キャベツぐるぐる巻きにしておくね」
碧音君は口パクで『意地悪』と言ってリビングを出ていった。たまに子供っぽくて、可愛いなもう。
「よし!」
夕飯の準備しますかね。検索したメニューをぱっと覚えて、冷蔵庫から食材を取り出した。