星渚さんが、自分の隣の空いている椅子を引いてくれた。


「ありがとうございます。でも、先に食べてくれて良かったのに」


というか、待っててくれたことが意外。特に皐月が。


「お前なぁ、こういう時は全員揃ってから食うもんなんだよ」


「珍しく皐月が真面目なこと言ってる!」


「珍しくじゃねえ。常に俺は真面目だ」


いやいやいや、それは可笑しい訂正しろ。突っ込みたくなったが、言うとケンカになるので止めておく。


「早く食べよ。頂きまーす」


「……頂きます」


星渚さんが始めに夜食の具だくさん焼きおにぎりに手をつける。


ちなみに生ゴミは極力出したくないから、人参の皮も刻んで入れてある。エコだエコ。


「お前………飯は、うまいんだよ」


「何度も聞きました」


「俺好みの味過ぎて悔しい」


「悔しがる必要ありませんが」


眉根を寄せ、何故舌打ちをされるんだ私。したいのはこっちだっつーの。


「皐月、胃袋掴まれちゃったねえ」


「女の顔よりも料理に惚れた方が厄介だって、言うよな」


星渚さんと碧音君に茶化されると皐月は首をぶんぶん横に振り、『惚れる?あり得ねー。地球に隕石が衝突するくらいあり得ねえ』と言って、また箸を動かし黙々と食べる。