私が伝えなきゃいけない、相手は。
――溢れ出す本音が、完全に蓋を壊してしまった。
いいの?碧音君に対してファンに戻るんじゃなかったの?背中を押してあげるんじゃなかったの?もう1人の自分が問いかけてくる。
「明日歌ちゃん、迷ってる暇ないんじゃない?」
藍の声にはっとして顔を上げる。
今しかない。自分の気持ちを伝えるのは、明日じゃもう遅い、出来ないんだ。
「私は――――」
……臆病で、ひたすら悩んでた自分とはさよならするときが、来たんだ。もう私は、碧音君の世界に飛び込んでる。だったら。
「っ藍!私を、連れてって!」
「よし、そうこなくっちゃ」
急いで藍の車に乗り込み、空港を目指す。これ程までに信号がなければいいと思ったことはない。
それでも、ギリギリまで藍が速度を上げてくれたおかげで、本来かかる時間よりも早く空港に着くことが出来た。
はやる気持ちは抑えきれず、藍より先に車を降りて皆がいるという空港の出入り口へ向かう。
「どこ!?」