「それで活動を続けて同じ年の秋に、碧音達と出会ったのよね」


香澄さんが4人に目配せすると、皆あの頃を懐かしむように頬を緩ませる。私の知らない時間と空間が、過去にはあった。


「俺と星渚、皐月と碧音で初めてmidnightとしてアマチュアバンドのイベントに出た時、香澄が声をかけてくれたんだよな。『すごいね、君達』ってさ」


「そうそう。俺らにとったら目標にしてたバンドのメンバーに声かけてもらえてすっげぇ喜んだ!」


「LIGHTってライブ中仮面してるから素顔見たことなかったし、色んな噂ばっか先行してて本当にこの人LIGHTなの?って疑っちゃったけど」


「星渚がこいつ胡散臭そうって顔してたの、私も覚えてるわ」


LIGHTは演出で素顔を隠してピエロの仮面をするようにしてたから、私達の本当の姿を見たことがある人はごく少数のライブスタッフだけだったと思う。


「すぐ打ち解けて仲良くなったわよね。あそこのスタジオで皆が練習してる最中、よく遊びに行った」


「でも、あのスタジオ香澄がこの街から出ていった後改装されたんだ。それと同時にオーナーも変わった」


香澄さんの隣に寄り添って座る碧音君が藍に視線を滑らせる。


「今は藍のお父さんがスタジオのオーナー」


「え!?そうだったの!?」