ギー、ギギィ、錆びた音をさせながら皐月はブランコを揺らす。皐月が乗ると壊れそうで怖い。
「そうよねぇ、全部話さないと理解できないわよね。明日歌だって、私と4人の関係は知らないわけだし」
「……、はい」
「私が明日歌と出会ったのが、確か2年前の梅雨の時期。私が高校3年で、明日歌が中学2年の頃ね」
昔を懐かしみながら話を続ける。
「元々私の母親と明日歌の母親が友達で、明日歌の両親が仕事だって時にたまたま家で預かったの。家にいても暇だからせっかくだしカラオケに行った。んで、歌が鳥肌が立つくらいうまいってことを知ったわ」
私も、その日のことは断片的にだけど覚えている。香澄さんは私のことを気遣ってくれて、楽しい時間を過ごせた。
「私がやてったバンドのボーカルがその時ちょうど抜けちゃってて誰か良い人いないか探してたから、この子しかいない!って思ってバンドに誘ったのよ」
「それで明日歌ちゃんが入ったバンドが、新しく生まれ変わったLIGHTってわけね」
「その通り」
パチッ、と可愛らしく星渚さんにウィンク。
「明日歌が入ったことによって、LIGHTは知名度も人気も上がった。それほど、歌が魅力的だった」
私も、大勢の人の前で歌うのは、気持ちが良かった。自分の歌が、声がライブハウスに響くあの感覚が好きで好きで堪らなかったなぁ。
随分前の、思い出だけど。