黒目がちな大きな瞳、赤い唇、切れ長の眉に胸の下まで伸びてる長い黒髪。全てから、目が離せない。


「……あれ……?その女の子……」


碧音君達の視線と彼女の視線が一斉にこちらを向く。みるみる大きな目が開かれた。


「……まさか、明日歌?」


「お久し振りです」


自分の口から、この名前を紡ぐのは何年ぶりだろうか。


「――香澄さん」


懐かしい響きだ。香澄、さん。


「え……?待って、何で片瀬が明日歌ちゃんの名前知ってんの?」


「しかも明日歌ちゃんも香澄のこと知ってるって」


「おいおい、なんだこの状況!」


ね。私もそう思うよ、皐月。


「香澄、明日歌とどういう関係?」


碧音君、香澄さんとの距離が近いよ。妬けちゃうなぁ。


「どういう関係も何も。明日歌は、私が昔組んでたバンドのボーカルよ」