息が、止まる。女に目が釘づけで呆然としていると、視界の横を黒髪が横ぎった。


「お帰り……っ香澄」


この空間で異質な存在感を放つ香澄、という名前の彼女に1番に駆け寄ったのは碧音君だった。


「碧音!大きくなったわねぇ」


「香澄」


呆気にとられていた皐月、星渚、藍もやっと状況が掴めたようで驚きの表情をする。


「か、すみって……あの、香澄さん!?何でここに」


「そうよー、あの、片瀬香澄。皐月、あんた驚きすぎ。このスタジオにいるだろうなって勘を信じて来てみたのよ」


「片瀬、アメリカからこっちに帰ってくるなら連絡くらいして」


「ごめん星渚。連絡しなきゃーとは思ってたんだけどね、忘れちゃってた」


「いつ帰ってきてんだ?」


「おととい。うわ、藍また背伸びたじゃーん」