「え!春さんって藍の彼女なんですか?!」


「ふふ、そうなの」


「藍って彼女いたんだ。知らなかった」


「藍、こんな優しくて女子力を体現したような人が彼女なんて羨ましいです」


「菜流ちゃん、お世辞言っても何も出てこないよ」


「お世辞じゃないですよー」


「出会ったのはいつですか?」


「高校の時にね。付き合ったのは高校2」


会場の外で会話に花を咲かせる3人のもとへ俺達も顔を出す。


「春、そんなに何でも話すなよ」


「いいじゃん藍、春さんからたっくさん話聞かせてもらうからね」


復活した菜流が波江さんと腕を組む。そこに皐月と星渚も加わって話を広げてる。


——―昨日のことは、忘れたくても忘れられない。


身体に、脳内に染みついてしまったから。こびりついて、剥がれない。どうしたって。


今も気を抜けばその記憶にズルズル引きずり込まれそうになる。


でも、ステージに立てなくなるのは嫌だ。負けるわけにはいかない。