こうして見ると藍が本当に大人にみえる。


いや、実際大人なんだけど自分との差を実感するというか。


車の免許持ってるんだもんな、とかこんなにスイスイ運転出来るんだ、とか一々感動する。


「3番目に出たバンドも、私好きだったなあ」


「3番目?……あー」


「midnightもああいう曲やったら?」


「俺らは違うって」


「そうかなあ。明日歌ちゃんもそう思わない?」


「え、あっそうですね!midnightとしては新鮮味があると思います!」


空気に近づくことへ集中していたから波江さんに話を振られても気づくのが遅れた。


話も聞き流していたようなもんだから、返事も曖昧になる。ゆゆしき事態だ。


波江さんは自分がmidnightのライブを観て泣いたことこそ言ってないけれど、言葉を選び自分が感動したということを目一杯伝えようとしていて。