あ、皐月の匂いだ。爽やかでキツくない香水の香り。


「大丈夫だって。ちゃんと指定された部分握ってれば火傷しないようになってんだよ」


「ごめん」


花火の勢いもだんだん収まっていき、最後白っぽい黄色の火花がゆっくり地面に落ちる途中でパッと消えてなくなった。


終わった、胸を撫で下ろす。


「皐月、あの、手」


もう大丈夫だから。


「おう」


皐月の手が離れると一緒に温もりもなくなり、ひんやりした夜風が肌を撫でる。


さ、皐月に手を握られてしまった。


男の人に手を握られる経験なんて滅多にないから、余計心臓に悪い。


私自分で言うのもどうかと思うけど純情だから。恥ずかしくなる。熱い。


「星渚ー、花火あとどれくらいある?」


「1人1、2本ってとこ」


「げ!無くなるの早いな」