あのやりとりから、もう1ヶ月が過ぎようとしていた。

未だに月代は学校に姿を現さない。
それについて学校側も何も連絡をしてない

病気や怪我ならちゃんと知らされるだろうし……もしかして不登校?いやそれはないはず、だって彼女は人間関係も良好でそういった悩みはなさそーだと、田原もいっていたし。

一体何故なんだ……?

「よぉっ!今日もえんぴつ4本持ってきたぜっ!!!この木の香りたまんね~よなぁ…すぅはぁすぅはぁ……」

田原はあれ以降えんぴつにハマりド変態になってしまった。

「ヲイっ!だからオレを変態扱いすんじゃねぇってのっ!!!」

「もう、慣れたから大丈夫だよ」

「かぁー、冷たいねぇ……。てか、最近月代来ねぇな、おまえ心当たりなんかないのか」

相変わらずスルーに対してもめげない田原はいつもの調子で疑問をなげる。

しかし、彼女が急に来なくなったのは僕にもわからない。
約束も果たせていないのだ。

「…そうか、だったら!」

田原はすべてを察したような顔をし、素晴らしいことでも思いつたような声をあげる

「月代の家に押しかけてみればいいっ!」

僕は心底呆れ果てた、僕までストーカー癖を移されちゃ困る。

ジト目で罵ってやろうと田原の表情をみた
すると、彼は凛々しさともいうべき真剣な面持ちで次のように言う。

「心配ならいけばいいだろ?友人なんだし、それに約束を守らないのは男としてどうなんだ」

「友人って、まだ1回しか話してな…」

僕の反論を遮り田原は断言する

「1回でも、繋がりができればそれを友人と呼べるんじゃないか」

いつもふざけてばかりの彼の真剣な顔
彼は彼なりに月代に向き合えと言っているのであろうか?

しかし…いや、理屈をこねるのはやめよう

雅臣も腹をくくった。

「わかった、今日の放課後月代の家に行ってみるよ」

その日の授業がすべて終わりに
夕日がゆっくりと校舎を照らす