それから時間が経ちとうとう昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴ってしまう。

(あっ!!しまった)

これには流石の雅臣も焦りを感じていた。
田原がいればまだ、マシな打開策を練れたかもしれない。

とりあえず、仕方ないので次の授業の準備をすることにした。


(あ~あ……結局放課後になってしまった)

雅臣はここぞとばかりに不運を発揮し午後の授業も月代と同じになることはなかった

こうなってはもう日をまたいで返すしかなくなってしまった。

(ぜってー返しとけよ!)

それだけ雅臣にいって田原は教室を出ていったのである。

そしてただ1人雅臣だけがこの教室に残り悩んでいた。

夕日が窓から穏やかな光を放つ、その光景を見るだけで彼の創作意欲が湧くようで、
ノートを開き自分の想像を文字にしていった。

カリカリカリ……カリカリカリ……。

(あれからずっと使っているがなかなか折れないな)

ふと、彼はえんぴつの先を見つめてそう思った。
そしてその筆先をまたノートに戻し書く……

「キミに会えたことがとても素敵な運命の糸で結ばれているような気がするよー、私も貴方と一緒ならどこまでもお供いたします………ふふっすごく素敵な事書いてるね」

不意に真横から柔らかく温かみのある声が僕の書いている文字を読まれていく。

「うわぁぁっ!!?」

バキッ!!!!

いつ近づいて来たのかわからず後ろから声をかけられた驚きと、

他の誰にも見せたことのない小説をあろうことか読まれた恥ずかしさに筆先に力が入り過ぎてしまい、彼女のえんぴつの芯を折ってしまったのだ。

とっさに後ろを振り向くとなんとそこに立っていたのは、月代であった。