別に、あなたが特別かっこよかったわけじゃない。


ただ、人の輪の真ん中で、くしゃりと笑うあなたの顔が好きだった。


なんの変哲もない教室が、あなたの笑顔で一気に明るくなるから、私はそんなあなたに目を奪われた。


ふわふわと風になびく髪も、たまに寝癖が直っていなくて後ろ髪がはねているのも、可愛くてたまらなく好きだった。


でも、あなたがそのくしゃりと笑った顔を、私に向けてくれたことなんてなかった。


きっと私が世界で一番あなたのことが好きなのに、誰よりも好きなのに、たまらなく好きなのに。



私が好きになったその笑顔を、あなたが向ける相手は、私じゃなかった。