「恋、かぁ…」

放課後、柚子と別れてからボソリと呟く。
今まで無縁すぎて何も感じなかった。

思えば。

いつも隣には阪口がいて、それが当たり前で。
いつの間にか阪口がいない記憶なんてなくなってしまって。

(…阪口と柚子がもし付き合ったら…)

ふとそんなことが頭をよぎる。

阪口は、私から離れていってしまうのだろうか。
一緒に会話することもなくなってしまうのだろうか。

そう思うとまたも胸が痛む。

(何彼女ヅラしてんだ、ウッザ。)

はぁああ…と大きくため息をついた。

最近おかしいんだ。
阪口が近くにいるだけで心拍数が上がるし、阪口の笑顔が頭から離れない。
阪口と女の子が話していたらモヤモヤするし、泣きたくなる。

ストーカーかよ私は。

もう一度大きくため息をついたら、周りの人が頭にクエスチョンマークを浮かべて此方を見ていた。

そういや私、ため息しかついてねぇ…‼︎

なんとなく恥ずかしくなって少し慌ただしく別車両へ移った。