いっそ、憎めたら忘れられるのに
出来ないのが信歩らしい。

でも…想わずにはいられない。


眠る信歩の手を握る。


アイツの事なんか忘れて俺を見れば良いのに…。


『…スー…スー………。』


声の出ない俺が幾ら口を動かしても
信歩に伝わる事はない。

話せなくなるのは不便だったけど、
慣れてしまえばどうだって良かった。

それなのに…今更声を出したいだなんてな。


試しに声を出そうとしてみる。