紫苑side


人混みの中では追い付けなかったが、
それを抜けたら一気に距離が縮まる。


「……ッ………!!」


こんな時、声が出ないのがもどかしい。


パシッ!


『離してッ!!』


腕を掴んで引き止めると抵抗する信歩。

引き寄せて正面を向かせると
どれだけ泣いたのかが分かる。


そのまま小さな身体を抱き締めた。


紫苑sideEND