部屋でのんびりしているうちに午後11時になっていた。
さっきコッソリお風呂に入ったけれどリビングの電気は消えていたから、玲君は寝たと思う。
お腹減ったしコンビニ行こっかな。
玲君、クラスの子達が言うだけあるな。格好良いし体調も心配してくれて優しい。
そんなことを考えながら、なるべく足音をたてないようにゆっくり階段を降りた。
1階について立ち止まって周りを確認したけど玲君の気配はない。
行ける!と思い玄関のドアに手をかけた時、後ろから何かに包まれてしまった。
「どこに行くんですか?こんな夜中に1人で歩いていたら襲われますよ。」
この声は玲くんだ。もしかして私、抱きしめられてる?
「へ?あ、あのちょっと買いたいものがあって。...っていうか離して!」
男子に抱きしめられたことも無いのによりにもよって苦手な男子に抱きしめられるなんて!
私は玲君の腕の中から慌てて逃げた。
「執事なのに主人のこと抱きしめていいんですか?正直言うとあなたのこと苦手なんです。」
ハッキリ言っておけばもう私には近付かないでしょ。
「城山高校の子ならお金にだって困ってないはずだし執事なんかやらなくてもいいじゃないですか。」
こんなに言ってるのに玲君は何にも言い返してこない。
ふと玲君の顔を見てみるといつもの優しい雰囲気じゃない気がする。
何か目も鋭い。
「...こっちが黙ってるからって調子にのんなよ?」
え、ぇぇぇぇぇぇぇぇ!?
私が知ってる玲君じゃない!!