「凛(りん)、突然だが明日から父さん達はアメリカに行く。」
え...?アメリカ...?
「ど、どーいうこと!?明日からなんて突然すぎるじゃない!学校だって転校したくないんだけど!?」
高校に入って半年、ようやく学校にも慣れてきた。
私が通う花蓮(かれん)学園は世間で言うお嬢様学校。
通ってる子達だって「ごきげんよう。」とか言ってるお嬢さまばっかり。
両親が経営している田崎和菓子店は老舗の超一流のお店らしい。親のことなんてあんまりわからないけど。
まぁお嬢さま学校に通ってるからって私はお嬢さまじゃないけどね。

だってお嬢さまって面倒くさいじゃん?
ドレスなんてヒラヒラしたもの着たくないしパーティなんて大人しくしなきゃいけないもの大嫌い。
だから学園の子達と友達になるのは苦労した。
あんな面倒臭いこと二度としたくない。

...お嬢さまじゃないだけで女の子らしくない訳じゃないよ?
甘いものだって好きだしスカートだって履く。
もちろん王子様みたいな優しい男の子との恋愛だってしてみたい。
いたってフツーの女の子です!

「行くのは私たちだけ。凛にはここに残ってもらうから大丈夫よ〜。」
いやいや、1人ってのも困るんですけど!?

「嫌にきまってるじゃない!なんで1人で暮らさなきゃいけないの?」
「安心しなさい。凛には明日から執事がつくことになった。その子に凛のことは任せることにしたんだ。」
...執事?任せるって2人っきりってこと?
知らない男の子と2人っきりなんてイヤ!
「そんなの無理に決まってるじゃないの...。何も知らない異性となんか暮らせないし!」
「凛も見たことあるんじゃないか?天野玲君って言うんだが。」
...天野玲ってまさか...。