「……いや、紫苑があそこにいたくないみてぇな顔してたから」 一瞬、息がとまるかと思った。 どうしてわかったんだろう。 今まで、誰にもばれなかったのに。 「……やだな、何言ってるの?莉子は友達だよ?」 「そっか、悪い」 ナツは全く悪びれもない様子で近くのベンチに座った。 私もそれにならうようにナツの横に座る。 小さなベンチ。 ナツの右手まで、あと10センチ。