「ナツは全くなにも覚えてないの?」 「あ、うん。綺麗さっぱり抹消されてる」 「勉強的なのは?たし算、できる?」 「あーそれは。でも」 すると途端にナツは顔を伏せて悲しそうに、てゆうより恥ずかしそうにボソッと呟いた。 「わり算とか、わかんなかった」 「……え、ほんと?」 「うん、かけ算とかも。たし算とひき算、あとは簡単な漢字とか」 たし算とひき算と簡単な漢字。