ふと横を見ると、茜色の空の下、木々の隙間から見える海が眩しかった。 ………セミの声が、聞こえる。 「………ナツ」 「え?」 「君の名前は、ナツにしよう」 パッと頭の中に浮かんだ名前。 海、セミ、イコール夏。 「夏だからナツって………。紫苑らしいね。うん、じゃあ俺は今からナツだ」 楽しそうに笑うナツは、あたしが今まで見てきた笑顔の中で、一番輝く笑顔だった。