「でも貴女は…何も覚えていなかったの
あの時この家に連れてこられた時の事も、それ以前の事も…」


どういう事…?
私はずっとこの街で生まれて、両親はいないけど優しいお祖母様と一緒に16年間暮らしてきた…


それが全部嘘だったっていうの…?



「そん…な…」

「でもあなたはちゃんと私が育てた子よ!」


「そんなの嘘よっ!!!」

「リリア…」


もう訳がわからない…
お祖母様の事も信じられない…

こんな自分、嫌…っ!







「ふーんそう言う事か」


!?


「あっ貴方は…!」

「リリア?知り合いなの?」


「レイシア・フェアールと申します。
サンキ・テラスの第一王子です。」

どうしてここに王子が…!


「サンキ・テラス…!じゃあ貴方は…」

「勝手に家に入った無礼を許していただきたい
それと、少しリリアと2人で話をしてもよろしいですか?」


「ダメよ!サンキ・テラスの者にリリアは渡さない!!」


そう言うとお祖母様は椅子から立ち上がって私と王子の間に立った


「落ち着いてください
私は彼女に危害を加えたりしません
ただ2人で話がしたいだけなのです」


「お祖母様、大丈夫よ
この家から出たりはしないわ
心配しないで」


「……。
分かったわ
リリア、貴女の部屋を使いなさい」



「お気遣い感謝します
行こう、リリア」


「あっ…はい」





ああは言ったけど、王子を私の部屋に案内している間、私は軽いパニック状態だった


さっきのお祖母様の話もきちんと理解できないままに王子が来て…

それに2人になって何を話すのかも検討がつかない…




「どうぞ…」


私が扉を開けると王子は、ありがとうと言って部屋に入った




「突然来て悪いな
けどどうしても話したいことがあったんだ」

「…」


「そのまま聞いてくれればいい
今から話すことが信じられないかもしれない
でも真実なんだ」



王子は私を近くの椅子に座らせると自分は側に立って話し始めた


私はただ黙って聞いてるだけ



「さっきのお祖母さんの話…多分本当だ
俺がずっと探してる子、それが多分君なんだ」