10年前…ーーー


外は嵐で、雨が窓を叩きつけて突風が辺りの木々を大きく揺らす

そんな夜のことだった




コンコンッ コンコンッ

微かな扉を叩く音が聞こえる
こんな嵐の中、来客なんて…と不審に思いながら扉を開けた


そこには黒いコートに黒い帽子、全身真っ黒で顔もわからないような人が立っていた

その人は横に下を向いた女の子を連れていた



「ここはメルシウ邸でありますか」

「ええそうですけど…」

そう答えるとその人はびしょ濡れの女の子を乱雑に渡してきた


「あの…この子は?」


「私はサンキ・テラスの使いの者である。
これから貴女にその子供を面倒見てもらいたい。」


「どっどういうことですか?
この子は一体…?」


「この子はリリアという。
今後この子を貴女の子として育てること。
そしてこの事を決して口外しないことを約束していただきたい。」


「意味がわかりません!突然このような事を言われても…!」


「貴女が逆らえばこの子の命はない。
大人しく言うことを聞いていただきたい」


!?この子は一体…何をしたの…?


「…分かりました
この子を育てます、この事も口外しません」


「お願いします」


そう言うとその黒い人はまた嵐の中、闇に紛れて姿を消した


私は何も知らされなかったけど、責任を持ってこの子を育てる事を決意した