レイシアside

“サンキ・テラス”


そう言えば大抵の人は“大きくて綺麗で1番の大国”と思っている


でもそれは間違いだ



俺はこの国以上にその認識に当てはまる国を知っている

ただ、1人の子供の失踪でその国はみるみる内に衰退し、今はあの頃の華やかさを何処にも見ることはできないけれど



俺はあの国を取り戻したい
昔のような華やかさを持ったあの国を…









「レイシア様、本日は遠路遥々ようこそおいで下さいました。
一貴族の小さなパーティーですが、どうぞお楽しみなさってください」


「ええ、そうさていただきます」


先日、父であるサンキ・テラスの現国王から、気に入った貴族の男の娘の誕生日パーティーに行って来いと言われた

俺はもう国の仕事を手伝ってるし、そろそろお前も国を背負う準備をしろ、と言われている


なのになぜわざわざこんな小さな街に来なくてはならないのか


初めはそんな面倒くさい所なんて行く気は全く無かった

でも、

もしかしたら“あの子”の情報が掴めるかもしれない…


そんな薄い望みの為に今日は来た



「レイシア様、本日は私の誕生日パーティーにお越し頂き有難うございます。」


「貴方がローサ嬢ですか?
本日は誕生日おめでとうございます
確か父からは同い年だと聞いたのですが…」


「はい本日で17になります」


「そうですか
ところで少しお聞きしたいことがあるのですが…」


「はい、何でしょう?」


「この街に、他の場所から引っ越して来た人はおられますか?」


「引っ越し、ですか?」


「ええ」


「最近…ではないですけれど
私の友達の“リリア”という子は引っ越して来た子だったと思います」


「“リリア”…?
その方はいつこの街に?」


「確か…10年も前のことだと思います
私もまだ6歳だったのであまり記憶ははっきりしていませんが
リリアは全くその事を覚えていないのです
生まれたのもこの街だと思っているようで…」



「!?その子は今何処に?」


「多分今は家にいると思いますが」


“リリア”…


確かに“あの子”とは違う名前だ…

でも…10年前…


「レイシア王子
リリアにお会いになられますか?」


「え?いやしかし…」

「今日このパーティーに来る予定なんです
もうすぐだと思うので、この部屋でお待ちください
すぐ連れてまいります」


「すまない」


「いえ構いません」


ぱたん





本当に“リリア”という子が“あの子”だったら…
でもさっきの娘…ローサとか言っていたか
の話だと10年前以前…引っ越してくる前の記憶が無いことになる…



って何考えてんだよ俺…
焦りすぎだっつの…


10年探しても見つからなかったんだ
そう簡単に見つかるわけない…


ガチャ

「おっ押さないで〜〜〜!!」

そう言いながら部屋に入ってきた少女

俺は自分の目を疑った

でも彼女は紛れも無く“あの子”だった








あぁやっと見つけた…


たとえ記憶が無くても、名前が変わっていても俺が君を分からないわけないじゃないか

もう絶対に見失わないから…