現在はヨーロッパと呼ばれる地域に、
セント・ラピスという国がありました。

その国は初代の国王様がラピスラズリの宝石で大きくされ、大国一大きく、また美しい国になりました。

国王様はその後、それはそれは美しい娘と結婚し、妃は美しい男の子を産みました。

男の子はやがて立派な国王となり、人々に愛され、可愛らしい娘を妃に迎えました。

妃となった娘は国王に似た美しさと、娘に似た可愛らしさを持った男の子を産み、二人は愛情を注いで育てました。
王子となった男の子はお城で一生懸命勉強し、剣術も習い、立派になりました。

ところが王子は急にお城から姿を消しました。
誰かに攫われてしまったのです。

国の者はみんな王子を探しました。
その日は王子の六歳の誕生日だったのです。
しかしパーティーは中止、国王夫妻は悲しみからお城に閉じこもってしまいます。

国の者たちは何とか国王夫妻を元気付けようとしますが、王子が戻らなければ無理だと分かり、諦めてしまいます。

活気のなくなった国からはどんどん人が去り、あんなに大きく美しかった国は人のいない寂しく汚れた国になってしまいました。