レイシアside

俺がまだ剣や勉強を始めたばっかりの頃、確か3歳くらいか?

その時、1番活気があって栄えていたのはサンキ・テラスじゃなかった


隣の国セント・ラピス
俺が1番好きだった国だ




「坊ちゃん今日も隣国へ行かれるのですか?」


この国の第一王子の俺を“坊ちゃん”と呼ぶのは教育係のメーサだけだった


「うん」

「ならその前にやらなくてはいけないことがありますよ」


「剣の修行と勉強はちゃんと終わったよ!」

「いいえ
坊ちゃん今日は姫に会いに行くのが目的なのでしょう?
女性に会うときは何かプレゼントを持っていくものです」


「プレゼント…?」

「ええ例えば…
お庭に咲いてるお花なんていかがでしょうか?」


「それをあげれば喜ぶの?」

「ええきっと
そうね隣国の姫をお庭に誘って、花冠でも作って差し上げたらいかがですか?」


「俺作り方わかんないし…」

「なら私が教えて差し上げます
さあ行きましょう」



あの頃の俺はほぼ毎日のように隣の国に遊びに行っていた
もちろん剣の修行と勉強は終わらせて


父や大臣達にはもう少し国にいる時間を増やして欲しいと言われたけど、母さんは許してくれた



隣の国には姫がいる
リン・フェルト・シーラン
それが彼女の名前


その子はあの国に相応しく、明るくて優しくて一緒にいると安心できるようなそんな子だった



“好き”なんて、愛情か友情かも区別出来ない歳だったけど、俺は毎日会いに行ってた


それから月日は3年経って…
俺は6歳になった


リンは俺よりも誕生日が遅くて12月
ラピスラズリの誕生月だ



その日…俺の前からあの子は消えた



リンの誕生日の日も俺はセント・ラピスに行くつもりだった

もちろんリンを祝うため





「王子」

「何?フレイ」

フレイは父…現王の側近だ



「本日は隣の国に行ってはなりません」

「どういう意味?」



「本日のリン姫のパーティーは中止になります。
ですので王子は向かう必要はありません」

「中止…?そんなはずない
それに俺はそんな報らせ受けてない」

「先程来たのです」

「…」



突然のパーティー中止
前日リンは、“明日はみんながパーティーに来てくれるから嬉しい!”って笑顔だった


おかしいとは思いつつも俺は確かめに隣国に行けるほど偉くはなかったし、その時は母さんも許してくれなかった




もしかしたら何かの都合でパーティーが先延ばしになったのかもしれない、と思った


俺は次の日城のみんなが忙しくなる朝の時間にこっそり城を抜け出してセント・ラピスに向かった


でも…


あの子はもうどこにもいなかった




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