コンコン
両親が出ていって5分くらいたっただろうか?
ノックの音が聞こえる。
「はいはい」
駆け足で、玄関に向かう。ガチャリと扉を開けると、大荷物を持ったお兄さん、蒼野さんの姿。
「やあ、こんにちは。」
ニコリと微笑む蒼野さん。私はドキリとしながらも家に招き入れる。
「ありがと、1人で待っててくれたの?」
そう私の顔を覗き込んで聞いてきた。
私は、コクリと頷く。すると、偉いね?と言いふわりと笑う。
「もう!蒼野さん!私は子供じゃないんですよっ!」
「あははっ、そうだね。でも、僕から見たらまだまだ子供だよ。」
そ、そうですよねぇ・・・。わかってたけど!わかってたけどね!?
言われちゃうと現実突きつけられた感じするからきつい。
「綾音ちゃん、僕どうすればいいかな?」
とりあえず、両親が言ってたことを丸々、蒼野さんに伝える。すると蒼野さんはえぇ!?と驚いていた。
「綾音ちゃんと同じ家で寝るの!?」
そりゃあビックリするよね…当たり前だよ…。
「年頃の女の子と同じ家だなんて・・・お父さん何考えてるんだろうね?」
と、苦笑いで、聞いてきた。
もしかして、蒼野さんは、嫌なのかな?
私と一緒に住む・・・というか、ひとつ屋根の下で暮らすこと。
「い、嫌なら・・・断ってください。」
勇気を振り絞って蒼野さんに言う。
「へ?あぁ、別に嫌ではないよ?ただ、綾音ちゃんは嫌ではないの?ほら、僕はおっさんだからさ?」
と、笑って嫌ではないことを説明してくれる蒼野さん。
よ、よかったぁ・・・嫌じゃなかったんだ。
「私は全然構いません!」
そう言うと、なら大丈夫・・・かな?と言う蒼野さん。
「あ、じゃあ部屋に案内してくれる?」
私は蒼野さんをつれて、お父さんの部屋に連れていく。
「ここで。」
蒼野さんは了解。と言って部屋に入る。
荷物を置いてベットに座る。
私は扉の隅の方でそれを見ていた。
ちらっと蒼野さんがこちらを見てポンポンと隣を叩き
「座りなよ?って僕が言うのもなんだけど」
と言った。
私は、ちょこちょこと歩き隣に座る。
蒼野さんはこれからよろしくね?と挨拶する。
私も、よろしくお願いします。蒼野さん!と言う。
「ふふ、蒼野さんか。やめよう、聡でいいよ。むしろそっちがいいな?」
「あ、わかりました。聡さん。」
聡さんは、よくできました。
と言って頭を撫でる。なぜだか悪い気はしなかった。
こうして私たちの同居生活は始まった。