朝、聡さんは部屋から出てこなかった。
きっと寝ているのだろう。夜遅くまで唸るような声や、ビリビリと破く音が聞こえたから。あれからずっと作業してたんだなぁと思う。

私は小さい声で、行ってきますと言って家を出た。

「はぁ~」

学校までの道のりほんとに長いなあ・・・。
あれ?真希ちゃんは?いつもならここで真希ちゃんが話しかけて来るはずなんだけど・・・あれぇ?

そうこう考えているうちに学校へついてしまった。
私は席につきあたりをキョロキョロしていると梓くんが近寄ってきた。

「真希のこと探してんのか?」

私はうなづく
「あいつ、熱出たって。学校休んでるよ」

「ほんと!?大丈夫なのかなぁ?」

「ん、まぁ微熱で大事をとって、だから大丈夫なんじゃね?」

そっかぁ、と胸をなで下ろす。
すると、梓くんがニヤッと笑い私に話しかけてきた。

「真希に恋愛相談してたんだろ?」
前の席に座り梓くんはそう聞いてきた。
私は、うん。と頷いた。

「今日はあいつ居ねぇし、俺がしてやるよ」

「えっ!い、いいよいいよ!」

「遠慮すんなって!」

遠慮じゃないんだけどなぁ…。
どうせ、馬鹿にされるのわかってるし…。
昨日だってバカにしたくせに・・・。

「昨日、バカにしたこと怒ってんのか?全部声に出てるわ。」

私はハッと口を押さえた、梓くんは、おせぇよ。と言って笑った。

わぁ・・・、梓くんってこんな風に可愛く笑うんだ・・・。
いつも、クールな顔からは予想もできない柔らかい笑顔だった。

「悪いな、バカにして。次はバカにしねぇ。だから、聞かせてくれよ。」