「よっし!」

スーパーで食材を買い、家に帰ったあと私はキッチンに立った。

「まずは・・・」
唐揚げかな・・・。
私は唐揚げの下準備をしていると、聡さんが、キッチンをコソッと見に来ているのが分かった。

「綾音ちゃーん、ここで待ってていい?」
と、さっきと寸分違わぬ格好で聞く聡さん。
私は今していることに目を逸らさず、いいですよ。と答えた。

「よかったぁ・・・。実は仕事でね~」

なにか、仕事のことを私に話したいらしい。

「僕、普段はメンズものをデザインしているんだけどね、たまーに、レディースものもデザインしたりするんだよ。中高生向けだけどね・・・」

と、つらつらと聡さんがお話している。

その後も、お話していたのだけれど私は料理に集中していて、全然聞いていなかった。

「綾音ちゃん?」

と、名前を呼ばれ「ひゃい!」と変な返事をしてしまった。

「きいてなかった?」
と、笑いながら言われて、恥ずかしいながらもコクリと頷く。

「あのね、綾音ちゃんを観察させてほしいんだ。なにか新しいアイデアが生まれるかもしれないし、デザイナー風に言うなら・・・『綾音ちゃんをイメージした服が描きたい』かな?」

私をイメージ・・・?

「えっ・・・まじっすか・・・?」

「まじだよ」
今度は笑わず真剣に言われた。
私は、観察するくらいなら・・・と言った。

「よかったぁ・・・じゃあ、今から観察させてもらうね?」

あぅう・・・どうしよう。
緊張する・・・。

でも、わたしをイメージした服かぁ…
なんだか、嬉しいなぁ…