「必ず、君を手に入れてやると思ったんだ。どんな手段を使ってでも」
まず、彼女のことを知り尽くしたいと思った。無趣味が功を奏し、貯まった金を使い、興信所を利用した。名前と勤め先と住所は自分で簡単に調べることが出来たが、彼女の本籍、家族構成、交友関係は流石に困難なため、外部に頼った。
求めていた情報(物)は手に入ったが、そこには知りたくない事実も含まれていた。
彼女には付き合って一ヶ月目の男がいた。
刺し殺してやろうかと考えたが、彼女と付き合う前に前科者になってはならないと思いとどまる。
別れさせ屋に依頼した。興信所のツテだ。婚約者の親が相手方の素行を調べ、気に入らないようならそういった所に依頼することはままあることらしい。おかげさまで、彼女と男は破局した。思った以上に早く別れさせられたのも、どうやら男側に問題があったようでもともと上手くいってなかったらしい。
後は付き合うだけだが、面識のない男といきなり恋人関係になる方がおかしい。何よりも、つまらない人間に相応しい何ら秀でたものがない容姿では彼女は振り向いてもくれないだろう。