2階にある僕の部屋の窓から見渡す外は静かだった。
グレーに変色した数人がゆっくりと歩いている。一人は片足を引きずるように、
また別の一人は頭を斜めにしたまま、その手はだらりと下にたらし、両足は引きずるようではあるが、
少しずつ前へと進んでいる。
路上にも数人が座り込んでいて、彼らはほとんど動くことはないのだが、きっと生きている。
いや。
「生きている」というのもおかしな表現だ。
なぜなら彼らは死んでいる。死人になって生きている「ゾンビ」なのだから。
こんなことを話している僕も2日前からゾンビになってしまった。
あの日、これまで普通だった日常は朝日とともに激変した。
いつもどおり、学校に行こうと思って2階の自室から1階のダイニングに向かって階段を降りる僕は2日後にある、大学受験模試のことで頭がいっぱいだった。
高校3年生になって、いよいよこれからが勝負ってときに、僕の成績はじわじわと下がり、
少しずつレベルを落としていった志望校も、このままでは危うくなっていた。
そんな僕がダイニングの入口に来た時、いきなり母が唸り声をあげて襲いかかってきた。
顔は白く、生きている者の様子ではなく、獣のように襲ってくる。
「なんだ?母さん!やめてよ!」
どうにか、その場を逃れることができた僕は玄関から外に出て、また驚いた。
僕の家の前の幅5メートルほどの路上には母と同じ様子の「ゾンビ」がたくさん蠢いていたからだ。
「うわああああ!」
僕は慌てて駆けだした。そして、テレビや携帯からの警戒警報があちらこちらから、けたたましく鳴っているなかを困惑しながら町中を逃げ回っていた。
しばらくして僕は、駅前で僕が通う高校の制服を来た女子を見つけた。
彼女は同じクラスで、僕が密かに思いを寄せていた佳純ちゃんだった。
「大丈夫?早く逃げよう!」
そう言いながら駆け寄った僕の声に、振り返った彼女は、いきなり僕の手を
「カプっ…」
「あ…」
グレーに変色した数人がゆっくりと歩いている。一人は片足を引きずるように、
また別の一人は頭を斜めにしたまま、その手はだらりと下にたらし、両足は引きずるようではあるが、
少しずつ前へと進んでいる。
路上にも数人が座り込んでいて、彼らはほとんど動くことはないのだが、きっと生きている。
いや。
「生きている」というのもおかしな表現だ。
なぜなら彼らは死んでいる。死人になって生きている「ゾンビ」なのだから。
こんなことを話している僕も2日前からゾンビになってしまった。
あの日、これまで普通だった日常は朝日とともに激変した。
いつもどおり、学校に行こうと思って2階の自室から1階のダイニングに向かって階段を降りる僕は2日後にある、大学受験模試のことで頭がいっぱいだった。
高校3年生になって、いよいよこれからが勝負ってときに、僕の成績はじわじわと下がり、
少しずつレベルを落としていった志望校も、このままでは危うくなっていた。
そんな僕がダイニングの入口に来た時、いきなり母が唸り声をあげて襲いかかってきた。
顔は白く、生きている者の様子ではなく、獣のように襲ってくる。
「なんだ?母さん!やめてよ!」
どうにか、その場を逃れることができた僕は玄関から外に出て、また驚いた。
僕の家の前の幅5メートルほどの路上には母と同じ様子の「ゾンビ」がたくさん蠢いていたからだ。
「うわああああ!」
僕は慌てて駆けだした。そして、テレビや携帯からの警戒警報があちらこちらから、けたたましく鳴っているなかを困惑しながら町中を逃げ回っていた。
しばらくして僕は、駅前で僕が通う高校の制服を来た女子を見つけた。
彼女は同じクラスで、僕が密かに思いを寄せていた佳純ちゃんだった。
「大丈夫?早く逃げよう!」
そう言いながら駆け寄った僕の声に、振り返った彼女は、いきなり僕の手を
「カプっ…」
「あ…」