あれから、2年5ヶ月が過ぎ、私は高校生に。未だに、あの男の子とは会えないまま時は過ぎていた。このまま会えないで死んでいくのかー、とため息をつきながら入学式を行っていた。

ため息には、もう一つの理由がある。それは、新入生代表挨拶が私だってこと。だって、全校生徒が私ごときの挨拶を聞かされるんですよ?

でも、隣には夕希がいる。今の私には、とっても心強い人だ。

「それでは、新入生代表挨拶、渡邉来夢さんお願いします」

「はい」

わ行をこんなにもいやだと思ったのは初めてだ。後ろには2・3年生がいて、さっきからチラチラ見られている気がする。

体育館はやたらとデカい。何故、体育館でやるんですか?放送室で話せばいいじゃないですかー!

「えー、私は中1のときに母親を亡くしました。」
生徒達は私が変なことを言うものだからざわざわしている。
「その時、私の弟が生まれました。とても嬉しかったけど、その反面、とても悲しかった。でも、ある男の子が私を笑わせてくれました。言葉遣いが怖かったけど、本当は優しい人なんだなと心から思いました。それから、一度も会えていません。その人にはお礼を言いたいです。皆さんも、お礼を言われる側になってみませんか」

はっ!つい、自分の立場も忘れて話してしまったー!

パンパンパンパン

え、

体育館中、拍手がわき上がる。

「ブラボー!!!ラムサン!」
アメリカ出身のジョージ先生が泣いてる。

そんなに感動したのかなー?でも、まあ良かった。話すことが無かったからこの話をしたんだけど、無事終了。

式も終わり、1-2の教室へ。
前の席は渡辺夕希(女)、親友。同じクラス10年目。毎度、前の席は夕希。後ろの席は、渡邊凜(男)。

今日は、午前中で終わるから