ぱちっ


「ここどこ?」
「病院だよ」
「お父さん!お姉ちゃん!何でここにいるの?」
「何でって言われても、来夢が制服びしょびしょで、おしるこ持って病院の廊下で倒れてるのを男の子が助けてくれたんだよ。」
「来夢をおんぶして来たんだから〜意外とイケてたよ、彼!」
「男の子‥‥!そうだ、その人の名前聞き忘れてた。また会えるかな」


私は今日の事は決して忘れないよ。
今日は、《お母さんが亡くなった日》《亜人夢が生まれた日》《私と亜人夢の誕生日》そして《男の子と出会った日》。



〜2日後〜

やっと退院出来た。念のため、1日では退院させてもらえなかったのだ。今は早く家に帰りたい、それだけだった。

家に帰ると、庭にいる我が家のペット“わたなべ”(柴犬♂)が迎い入れてくれた。

その時、家の中からぱんっ!という衝撃音が聞こえてきた。何事かと思い玄関のドアを開くと、お父さんとお姉ちゃんが二人で立っていた。お姉ちゃんの前にはクラッカーの紐を引いたあとの紙などが舞っている。

ははーん、そういうことか。
「さては、私を驚かそうとしてドアを開くと思って間違えて紐を引いちゃったんでしょ」
お姉ちゃんは慌てて
「違うよ違うよ!」
と言っているが嘘はバレバレ。
お父さんは、クラッカーを自分の後ろに持って隠しているらしい。
「いや〜、これは来夢の退院祝いと誕生日祝いをしようとしていてだな、決して驚かそうとはしていないよ、ただ喜んでもらえたらいいなと思ってな」
あ、そうだったのか。私てっきり‥。
「ぱんっ!」
「「来夢、お誕生日おめでとう!」」
「せっかくの来夢の誕生日祝いなんだから落ち込まないで」
お姉ちゃん‥‥

ありがとう!