ジュー。
卵オッケー、ご飯オッケーあとはケチャップでかくだけっと、よしっ完成!
「お父さーん、お姉ちゃーん、亜人夢ー、朝ご飯出来たよー!」
ドドドドドッ!!
「アトムいきまーす!」
なぜか最近、亜人夢(3)はコレにハマっている。
「おはよう。来夢、お父さんの服見てないか?」
「おはよう。お父さんの服ならソファにたたんでおいたよ」
「ああ、そうか。すまんな、ありがとう」
お父さん(38)は建築関係トントントンの仕事をしていて、お母さんが3年前他界した後も家族の柱として今も私たちを支えてくれている大切な人。
「あ、お姉ちゃん起きて、今日はオムライスだよ!起きないと私が全部食べちゃうよー」
がばっ!
「ダメ!それは絶ーっ対にダメー!!」
ドドドドドッ!!
「只今、参上!」
やっと来た、こうでもしないと起きてこないんだよなー。
「では、いただきます」
「「いただきまーす!」」
がつがつがつがつ、
「お姉ちゃん、つめこみすぎ!そんなに早く食べなくても、おかわりあるから」
「だって、来夢の作るオムライスは、いっちばん美味しいんだもん!それに食べておかないと、すぐお腹空くから充電しなきゃ、おかわり!!」
「もー、お姉ちゃんたら」
お姉ちゃんの未夢(16)とは年子で、このようによく食べてよく寝る人です。
「「ごちそうさまー!」」
渡邉家は朝からドタバタ騒がしい日常を送っているのであった。
「お母さん、今日から私、高校生になるよ。制服どうかな?似合ってる?お姉ちゃんみたいにかっこよく着こなせるといいな。あと、3年たったけど、まだまだ大変です。早起きしてみんなの朝ご飯作って学校行って帰ってきたら洗濯、掃除、夕ご飯・・・お母さんの気持ち今なら分かるよ。お母さんなら、なんて言うかな。幸せだよって言いそうだな。私も幸せだよ。じゃあ、いってきます」
写真には、お母さんが笑顔でうつっている。
「来夢、制服似合ってるね!かっこいいよ。記念に4人で写真撮ろっ!ハイ、チーズ!・・・あはは、来夢みて」
「ん?あっ!お父さんかわいい」
「何だ?」
「「何でもな~い!あはははは、いってきます」」
お姉ちゃんと登校するのは1年ぶりだ。1年たつのはこんなにも早いんだな。
そうそう私は、渡邉来夢(15)この春から高校生になりました。
私たちの高校は白黒高校、通称モノクロ。教訓は“自分の色に染めろ”。
モノクロは評判良いし、5階建てでグラウンドは人工芝生で出来ていて設備も完璧で制服が白と黒というシンプルさで、このかっこいい教訓を見てモノクロに一目惚れして入学した。
正門には、お母さんが好きだった桜の木がピンクに色づいて春を知らせる。
―――お母さん、元気ですか?