side西園寺






戦場なのに。



その死体はあまりにも美しく、幸せそうに微笑んでいた。






「バカな、男」





それでもその死体に対して思うことはこれだけ。





この男にとって初めてできた大切な人たち。




そして裏切られた人たち。






男はこうして大切な人たちを繋ぎとめることを選んだ。






「理解できないわね」





死んでしまえば全てが終わりなのに。




私はその美しい死体に背を向けて歩き出した。