「全く、無茶をしますね、アナタも。こんな目覚めさせ方して......」 姿は紗久の姿でも昔と変わらぬ動作で呆れ、ため息をもらす楓。 呆れていても驚きはしない。 わかっていたのだ、楓は。 こうなる未来を。 「お前がすんなり出て来たと言うことはそろそろなのか」 「さぁ、どうでしょうね」 俺の質問を笑顔一つで片付ける。 優しい楓の笑顔。 わかっていても大切なことは何ひとつ教えようとしない。 楓は昔からそうだった。