「闇よ、他の者を千の剣で切り裂け」 パニック中の私の耳に怜桜の静かな詠唱が聞こえる。 え、何その物騒な詠唱。 翼先輩に抱きしめられているため私が周りの情報を得るために使えるのは聴覚のみ。 嫌な予感。 ドォォォォォォンッ 派手な音と共にふわりと浮かぶ体。 首を動かして情報に新たに視覚を加えれば、目の前は大量の剣と溢れんばかりの砂煙が広がっていた。