翼先輩もすぐに行くのかと思えば、珍しく真剣な表情で私を見つめていたので予想外のことに少し驚く。





な、何ですか?







「紗久、右手のそれ、まだあるな。もし万が一何かあったら最悪それを使え。百花繚乱は甘くない」






翼先輩に言われて翼先輩が言っている〝 それ〟に目を落とす。





未だに私の右手首から外れない、学先輩の発明品の金のブレスレット。








百花繚乱は甘くない。



その言葉は百花繚乱に所属しているからこそ重みのある言葉だった。







「しっかり頼れよ、俺、これでも一応先輩なんだから」