「…俺は知ってるよ…姫野さんが誰よりも度胸のある優しい子だってこと。変わらなくていい。俺は今の姫野さんが好きだから」



!!!!


…ドキドキドキドキドキドキ


黒川くんに聞こえちゃいそうなほど、心臓の音がうるさい。



「…く、黒川くん」


驚いて変な声でそう呼びかけると、黒川くんは優しく抱擁から私を解放した。



そして、優しく私に笑いかけると袋を開けた焼きそばパンを私に差し出した。



黒川くんは、何だか…昔から私を知ってるみたいな言い方をする。



まだ、話すようになって2週間も経っていないのに。



でも『変わらなくていい』そう抱きしめられたて、今まで心の中にあったモヤモヤがスーっと溶けていく感じがして、すごく嬉しかった。