「…教室のあの雰囲気がどうも苦手で。外なら割と平気なんだけど」


「教室?」


「うん。中学の時クラスですごいいじめがあって…私もいじめられないようにその頃から人と話すときに過剰に慎重になりすぎてしまったと言うか…」


「中学の頃…」


「うん。時々話すくらいの子だったんだけど、すごくいい子で。それなのに…私はその子を助けることができなくて…見て見ぬ振り」



自分が何かスイッチが入ったように、しゃべり出しているのに驚いているけど、話し続けている自分がいる。



「…その子結局、不登校になっちゃって。こんな度胸のない自分のこと嫌で嫌で変えたいって思っているけど…全然変えられなくて…私なんか…」


何で私…黒川くんにこんな話…。


「…あ、ごめんなさい。なんかたくさんしゃべっちゃっ……っ!!」




────ギュッ




「えっ…」



暖かい柔らかいものがゆっくり私を抱きしめた。