「…姫野さんちょっと」
「…えっ！」
黒川くんは私の腕を掴むと、ズンズンと廊下を歩き出した。
黒川くん…なんて大胆な…。
ヤンキーとつるむ女子なんてレッテル貼られたら、本当に教室に帰れないって…。
っていうか…やっぱり、置いていったこと…怒ってる…かな？
これはもう…死を覚悟しなければ。
まず、あの教室に帰れないかもしれない。
校内1の不良少年の告白を無視して、走って置いて行っちゃったんだから。
重罪である。
ガラッ
黒川くんは、空き教室に私を連れてくると、ピシッとドアを閉めて、私の前に立つ。
「…さっきは…ごめんなさい」
「うん」
「どうしていいかわかんなくて…」
クラスの女の子ともまともに話した事ないのに、黒川くんみたいな目立つ男の子に急に『好き』だなんて言われても言葉に困る。
「姫野さんはさぁ…俺のこと嫌い？」
「えっ…」
嫌いだなんて…そんな。
あんなに良くしてもらったからそんなこと思うわけない。
ただ…黒川くんは先輩を殴るような冷血ヤンキーって噂があるわけで…。
「姫野さん、好きなやつとかいんの？」
「…え…いない…です…けど」
「じゃあ、俺と付き合ってほしい」
「……っ！！」
