「…えっと…先に行きます!」


「…え?」


黒川くんの発言に戸惑ってしまった私は、黒川くんを置いて、自分だけ猛ダッシュで学校に向かった。


無理無理。
絶対おかしいよ。

なんで黒川くんが私のこと好きだっていうの?

なんでこんなことになってしまったんだろう。


はぁ…。


疲れた…。


ガラッ


少し息を整えてから教室のドアを開ける。


あんなこと言われて…普通に隣を歩くなんて無理に決まってるよ。


ん?


ざわざわしていたはずの教室が、いきなりシーンと静まり返ったので、何かあったのかと顔を上げる。



!!!!!


顔を上げると、クラス全員の視線が全てに私に向けられていた。


な、なんで?!



「姫野さん!大丈夫?!」

沈黙を破ったのは、学級委員の水田さん。


「え…」


学級委員の水田さんは私に駆け寄ってくると、泣きそうな顔をして私の肩を掴んだ。



「え…あ、風邪ならもう治りました…」



「それもだけど!そうじゃなくて!」