私はどうして気づかなかったのでしょうか。

自分が生きている人間だってことに。

感情も生きる意味も必要としてくれる人もちゃんといる…そんな人間だということを。




「初めて弱々しいところ見せてくれやしたね」




沖田さんは私の顔を見て静かに暖かい身体の中に抱きしめてくれた。



そして私はそんな沖田さんの着物をしっかり掴んで…

今まで流したことのない涙…というものを流した。






「桜女。今日は好きなだけ泣いてくだせぇ。誰も邪魔させねぇですから」




私にはわかるんだ。

沖田さんになら素の私を出せる。

沖田さんとなら言い合って小さな喧嘩ができる。



沖田さんの隣に居たい。
抱きしめてほしい。

こうやって私を必要としてほしい。