「成瀬、上行くぞ。」


「はいはい。」


もうここまで来れば従うのが一番面倒くさくなさそうだな。




「ねぇ遥山、私ほんとに姫になんかなんないから。何て言われようとも。」



目の前の大きなドアの目の前まできたと思ったら遥山は一度立ち止まり、私にこう言った。

「いや、お前には姫になってもらう。」


そしてギギギという音と共にドアが少しづつ開いた。


一階は少し薄暗いような感じだったからこの部屋から漏れる光が少し眩しい。


遥山に続いて私も部屋の中に入った。

4人の男が高そうなソファーに座ってこっちを見ている。


いいな、座りたい…

なんて思っていると1人が体を左右に揺らしながら言った。

体を揺らすから前髪で作られたちょんまげまでぴょんぴょんってしててかわいい


「ねぇはるちゃん、その子が姫になる子?」

あれ?この声どっかで…


「ああ。「なりませんから。」」


危ない危ない。
ちょんまげの男の子に気を取られて質問の内容を忘れていた。


「どういうこと?」


「私はこの族に入らない。
ましてや姫だなんて絶対にやらない。」


「と言ってますが?蓮。どういうことでしょうか?」


眼鏡をかけていて、いかにも秀才そうな人が蓮を見ている。

「いや、はいる。」
「入らない。」
「入れ。」
「やだ。」


「失礼ですがお名前お教えてください。」

「名前を言ったら返してくれるの?」

「今日のところはもういいですよ」

「分かった。私の名前は成瀬 桃晴。」